純情 きらり [本]
津島佑子氏による、「火の山-山猿記」を原作としている。津島佑子は太宰治の次女。ちなみに長女の園子は、津島雄二代議士夫人である。登場人物の家族構成や名称はほぼ同じである。しかしながら、テレビが岡崎を主人公たちの生まれ故郷にしているのに対して、原作は山梨県である。7月の初めごろに読んでみたのだが、読み応えがある。時間と空間が行ったり来たりするので、ちょっと油断をするとすぐにわけがわからなくなる。主要人物である杉冬吾は佑子氏の父である太宰治であるとのこと。
作者: 津島 佑子
出版社/メーカー: 講談社
発売日: 2006/01
メディア: 文庫
火の山は富士山のこと。戦前から戦中戦後にかけての有森家の変遷を描写したもの。家という概念が戦前から戦後にかけて大きく変わった。主人公である勇太郎は家を守らなければいけないのだが、先祖代々の土地という意味では家を守りきることができなかった。家はなくなり、住む場所も世界中にちらばり、日本人でありながら次の世代においては言葉も生まれた場所によって通じなくなってしまう。主人公の勇太郎は自分のたどった道を詳細に書き残す。家族の絆は途切れることはなかった。源一郎の描写する富士山ですら、長い時間の中においては大きな変遷を繰り返しているのだ。しかしながら、大きく変遷した有森家を三代にわたって見守ってきたのは、富士山であり、裾野に広がる大自然なのである。
小説の味はテレビでは中々味わうことができないが、朝の連続テレビ小説としては久々のヒットなのではないかと思う。あと四週で終わってしまうが、桜子は最後どうなってしまうのであろうか?また、冬吾はどうなるのか?
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